ツバサ | コネーホのフットボール現在地&レイソリスタ

ツバサ



 その頃、日本全国の少年たちの大部分は、この漫画をみてサッカー選手を夢みたに違いない。

 「キャプテン翼」

 アニメ放映時、俺は小学校3年生だった。

 まるで、超人の様な小中学生が
「ボールは友達」
を合言葉に、世界一のサッカー選手を目指す。

 まるで野球のフォークボールのごとく、急激に落ちる“ドライブシュート”や出っ歯の双子が宙を舞う“スカイラブハリケーン”、ゴールポストを蹴って横っ飛びする信じられないほどの長髪をもつ“空手キーパー”、サッカーボールが壁にめり込むほどの殺人技“タイガーショット”、ドイツ人が放つ“ファイアーショット”に至っては、もう意味が分からない、というような作者の常識の無さが幸いにも物語を盛り上げていた。

 これにはもう、虜である。サッカーをする時は必ず漫画の誰かになりきって、
「俺、翼!」
「俺は日向!」
「じゃ、俺は若林!」
などと、役が万べんなく決まったら、試合開始だ。
 俺は何故か、お父さんが画家で転校ばかりしていたが、素晴らしいテクニックを持ちながら特に必殺を持たず、終始翼くんの引き立て役でいた、岬くんの役ばかりだった。

 その頃は、あれらの必殺シュートを本当に打てるようになると信じて、毎日特訓に明け暮れたものだ。
 でも、大人になってみてドライブシュートは、翼くんには及ばなくても、理屈さえわかっていれば打てることを知った時は、少しだけ寂しくなった。大人になるって嫌だね~。

 それにしても、スカイラブハリケーンは、体重の軽い子供時代に、すでにマスターしていたが、ちっとも意味がないことに気が付いて、スカイラブツインシュートまでは、発展しなかった。

 などなど、色々と思いではありますが、現在Jリーグで活躍してる選手の中にも、同じようにこの漫画に憧れてサッカーを始めた人が少なくないことを思うと、なんだかんだ言って、
「すごい漫画なんだなぁ」
と思いつつ、古本屋で第2部的な“ワールドユース編”を買って読んでみると、やっぱり今読むとバカバカしい漫画であった。
 でも、いろんな意味で面白いけど…。

 現在は、スペインで活躍する翼の姿を描いた、第3部が爆走連載中だ。